【ブログ更新】消費税の軽減税率制度導入のおかげで生じている「イートイン脱税」問題。でも、そもそもこれって脱税なの?

消費税

2019年10月1日から消費税が10%に増税されました。

これに伴って主に食料品などは8%の軽減税率になっていることは、皆さんご存じですよね。

そんな中、「店内で飲食するのか」「テイクアウトするのか」を選ぶことができる飲食店で起きている「イートイン脱税」問題。

「脱税」という言葉にちょっと違和感を感じたので、ブログにしてみました。

世間で言われている「イートイン脱税」とは?

軽減税率制度の導入に伴い、最近テレビなどでよく耳にするようになった「イートイン脱税」という言葉。

ここで言う「イートイン脱税」って何なのよ?ということで、下記のようなファーストフード店での注文時のやり取りを例に説明してみます。

店員さん
店員さん

「いらっしゃいませ。ご注文はお決まりですか?」

お客様
お客様

「えーっと、ハンバーガーセットを一つ。ポテトのMとホットコーヒーでお願いします」

店員さん
店員さん

「かしこまりました。お持ち帰りですか?それとも店内でお召し上がりですか?」

お客様
お客様

「持ち帰りでお願いします」

店員さん
店員さん

「お会計は○○円(消費税は8%)になります」

こんなやり取りをして受け取ったハンバーガーセットを、お客様はそのまま持ち帰らずに店内の飲食設備でもぐもぐ。

店内の飲食設備でもぐもぐ(イートイン)するなら本来消費税は10%負担しなければならないのに、レジで「持ち帰りで」と言っているので、消費税は8%しか負担していませんね。

この差額2%が「イートイン脱税だ」と問題になっているわけですね。

国税庁ホームページの軽減税率Q&Aでは、このような見解です

では国税庁ホームページの軽減税率Q&A(2019.10.15時点)では、このようなケースではどのような見解を示しているのかというと、

http://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/pdf/qa/03-01.pdf

の問58(ファーストフードのテイクアウト)が参考になりそうです。

問58の一部を抜粋します。

「事業者が行う飲食料品の提供が、「食事の提供」に該当するのか、又は「持ち帰り」に該当するのかは、その飲食料品の提供を行った時において、例えば、その飲食料品について、その場で飲食するのか又は持ち帰るのかを相手方に意思確認するなどの方法により判定していただくことになります(軽減通達11 )。

国税庁HP 消費税の軽減税率制度に関するQ&A(個別事例編)より

とまあ、こんな見解が示されています。

これを上記の店員さんとお客様とのやり取りの例に当てはめてみると、

その飲食料品の提供を行った時において」→「レジでのやり取り時において」

その場で飲食するのか又は持ち帰るのかを相手方に意思確認するなどの方法により判定」→店員さんが「お持ち帰りですか?それとも店内でお召し上がりですか?」と確認して、お客様は「持ち帰りでお願いします」と意思表示。

といった感じでしょうか?

つまり、店員さんが「お持ち帰りですか?それとも店内でお召し上がりですか?」とお客様に意思確認をして、お客様が「持ち帰りでお願いします」と意思表示をした時点で、消費税は8%と確定します。

上記のやり取りの例のように、お客様が持ち帰りの意思表示をしてハンバーガーセットを受け取った後、それをそのまま持ち帰って家で食べようが、店内の飲食設備で食べようが、そこまでは問わないということです。

では「イートイン脱税」になるのか?

結論から言うと、上記のようなお客様の行動は、少なくとも「脱税」には当たらないと思うんですよね。

もちろんやっていることは最低だけど、国税庁ホームページの見解にあるように、消費税率が8%なのか10%なのかは、レジでの店員とお客様とのやり取り時に決定します。

つまり消費税率の決定はお客様のモラルに委ねられているので、この行動は「イートイン脱税」というよりは「モラル上許されません」といったところでしょうか。

今風にいうと、「不適切ではあるが違法ではない」みたいな。

これでは「持ち帰ります」と言って「店内の飲食設備でもぐもぐ」する人は必ず出てきて、トラブルに発展することもあるでしょう。

でもこれって、「消費税に軽減税率を導入した」という税制上の問題ではないですか?

そもそも、消費者の一声で税率が8%になったり10%になったりする税制なんて、過去にありました?

消費税の納税義務者である飲食店側が、ハンバーガーセットをイートインだから消費税10%で販売しておいて、消費税の申告書を作成するときに消費税8%で計算していたら、これこそが「イートイン脱税」でしょう。

まとめ

今回引用した国税庁ホームページの軽減税率Q&A(個別事例編)は、なんと問121まであります(2019.10.15時点)。

もう一つの軽減税率Q&A(制度概要編)は問23まであります(2019.10.15時点) 。

軽減税率制度が存在する限り、このQ&Aの問は随時追加されていくことが予想されます。

個人的には、理解することが困難な軽減税率という制度を導入してしまったことが、この混乱の始まりだと思っています。

私に強大な力があれば、すぐにでも軽減税率制度は廃止したいところですが、残念ながらそんな力なないので、イートインなら消費税10%をきちんと負担しましょう。

持ち帰りと言って店内で飲食しても、そのハンバーガーセット美味しく食べられないですよ。