【ブログ更新】法人税の節税対策は計画的に。やりすぎると大変なことになるかも!

法人税

経営者の皆様は会社の業績を良くしようと日々努力されているわけですが、会社の業績が良いとどうしても気になってしまうのが法人税の納付額。

「法人税なんて1円も納付したくない!」と無計画な節税対策をしてしまうと、後々大変なことになることも。

「節税対策をするなら計画的に行いましょう」というお話です。

過度な節税対策は危険です

会社を設立して事業を行う目的はいろいろあると思いますけど、やはり最大の目的は利益を出すことですよね。

まあ利益がすべてではないですけど、赤字続きでは会社を存続していくことが難しくなります。

で、利益が出るとその後にやってくるのが法人税の納付。

「せっかく利益が出たのに、法人税を納付しなければならないのか。何とかしたいな」と思う気持ちは、分からなくもないです。

でも法人税を納付したくない一心で無計画な節税対策を行ってしまうと、場合によっては倒産してしまうかも。

今回は簡単な事例を使って説明してみたいと思います。

前提

売上高1,000万円 費用合計700万円 法人税率30%(均等割は無視します)

※全て現金取引とします

普通に法人税を計算した場合

上記の前提を基に節税対策は一切せずに、法人税がいくらになるのかを普通に計算してみます。

法人税額の計算

利益:売上高1,000万円△費用合計700万円=300万円

法人税額:利益300万円×30%=90万円

この場合、90万円の法人税を納付することになります。

90万円を納付すると聞くと、なかなかの負担感ですよね。

法人税をゼロにするために節税対策した場合

では、「法人税なんて1円も納付したくない」という一心で、節税対策として300万円の費用(適切な費用とします)を計上したパターンで法人税を計算してみます。

節税対策後の法人税額の計算

利益:売上高1,000万円△費用合計700万円△節税対策の費用300万円=0万円

法人税額:利益0万円×30%=0万円

まあ、想定内の結果です。

両者を比較してみます

では、上記の2パターンを比較してみます。

普通に法人税を計算した場合には、利益300万円から法人税を90万円納付しているので、会社には差額210万円の現金が残ります。

一方、法人税をゼロにするために節税対策した場合には、利益ゼロで法人税もゼロですけど、会社に残る現金もゼロです。

仮にこの会社が銀行から借入をしていて、1年間で元金120万円を返済しなければならないとしましょう。

普通に法人税を計算した場合には、会社に210万円の現金が残っているので、そこから借入金の元金120万円を返済しても差額90万円の現金が会社に残りますね。

しかし法人税をゼロにするために節税対策した場合には、すでに会社に現金は残っていないけれども借入金の元金120万円は返済しなければなりません。

「さあ、どうしましょ?」ってなりますよね。

新たに銀行から借入をしようとしても、「利益が出ていないから・・・」と断られたりしたら、経営者が自腹を切るか、それとも倒産するかの話になるかもしれないです。

目先の法人税を納付したくない一心で無計画な節税対策を行ってしまうと、場合によっては取り返しのつかない事態を招いてしまう可能性があるんです。

では「会社が銀行から借入してなければ問題ないじゃん」と思うかもしれないですけど、決算書上の利益はゼロになるので、今後銀行から借入をしようとしたときに何らかの影響が生じるかもしれないし、決算書を見ただけでは正しい業績が分からなくなってしまいます。

そして何より無計画な節税対策を行うことの一番の問題は、本業の業績が良かった(利益は300万円出ている)にもかかわらず、会社に1円も現金が残らないことです。

1年間必死に経営してきたのに結果として会社に1円も現金が残らない、何のために経営しているのか虚しくなりませんか?

「法人税は1円も納付したくないけど、会社に現金は残したい」という希望は、残念ながら叶えることはできないんです。

もし節税対策をするなら、会社の将来の業績を予測したうえで計画的に行うことが重要であることをご理解いただければ幸いです。

まとめ

今回は全て現金取引というすごくシンプルな例を使って説明しましたが、実際は掛取引がメインであったりするので、「利益」と「現金」は一致しないことが多いです。

なかなかイメージするのは難しいかもしれないですが・・・

なので簡単なキャッシュフロー計算書を作成するだけでも、ある程度会社の「現金」が見える化できます。

そして何より「会社にお金を残したかったら法人税はニコニコ納付!」ということを忘れないで欲しいです。

最後にもう一つ、他社で行った節税対策が自社でも有効であるとは限らないので、必ず自社に落とし込んで検討しましょう。

知り合いの社長から「この節税対策良いぞ」なんて言われても冷静な判断をお願いします。