会社を経営していたり個人で事業を行っていると、避けては通れない借入・資金繰り問題。
設備資金に運転資金、銀行から借入を検討しなければならないタイミングは何回もあると思います。
銀行側も融資先を見つけないと利息を稼げませんから、社長や個人事業主にあれやこれやと営業をかけてきます。
今回は以下の2つのケースで、借りる側のメリットとデメリットを考えてみます。
銀行から「お貸ししますよ」と言われたら借りられるだけ借りる
借りる側からは何も言っていないのに、銀行から「お貸ししますよ」と言われたら、銀行が直近数年間の決算書を分析したうえで、「ここならぜひ融資したい」と判断されたと思って良いでしょう。
借りる側からすると業績が好調で、「お金たくさんあるんで別に借りる必要はないんだけど」みたいな状況でしょうか。
それでも、銀行が「貸しますよ」と言っているなら「借りられるだけ借りておこう」とした場合の、借りる側のメリットとデメリットを考えてみます。
メリット
借りる側の最大のメリットは「安心感」でしょう。
「銀行から信用を得ている」「必要以上に資金が潤沢にある」「急な支出にも楽々対応できる」といったところでしょうか。
事業を行う上で一番心配なのは資金繰りと言っても過言ではないので、これを心配する必要がないというのは精神衛生上とても良いですよね。
ある社長は、銀行から「貸します」と言われた金額を満額借りて、そのお金に全く手を付けずにそのまま定期預金にしていました。
「こうしておくと、とても安心する」とおっしゃっていたことを思い出します。
資金繰りにゆとりがあるって大事なんです。
優良企業ともなると、「銀行様、お金貸してください」ではなく「おい銀行、お金借りてあげるよ」みたいな関係になるかもしれないですね。
デメリット
当然、借りたお金は返さなければなりませんし、最近は低金利なので負担感は少ないとはいえ、利息も支払わなければなりません。
業績が良い状態がこの先ずっと続くなら、借入を返済していくことは何の問題もないでしょうけど、将来を予測するのはなかなか難しいものです。
ひとたび業績が悪化したら過剰ともいえる借入金を返済していくことは困難になり、資金繰りを急速に悪化させます。
こうなると、銀行としては返済が滞ってしまうことが一番困るので、返済スケジュールの見直しなどの対応はしてくれるはずです。
ただし現状の借入金を完済するまでは、新規に借入をすることはできなくなる可能性が高いので、経営のかじ取りは相当難しくなると思います。
業績が好調であれば全く問題がない「多額の借入金、多額の返済」が、業績が悪化した瞬間に足かせになってしまうので要注意です。
自社(自分)が必要なときに必要な金額だけ借りる
これはとてもシンプルです。
「必要なときに必要な金額だけ借りる」というのは、借りる側からすると理想のような感じもしますよね。
この場合の借りる側のメリットとデメリットを考えてみます。
メリット
「必要なときに必要な金額を借りて、ゆとりのある無理のないスケジュールで返済していく」とてもシンプルです。
見方によっては慎重な感じもしますが、借入金の返済って少なければ少ないほど安心感がありません？
無借金経営ともなれば、借入金の返済のことなんて考える必要もありません。
「借入したのでお金がたくさんある」という安心感とはまた違った安心感ですよね。
必要以上に借入をしなければ返済額は少なくて済みますから、それが経営の重荷になることも少ないでしょう。
また多少の業績悪化であれば、返済額が少ないことで難なく乗り切れる場合もあると思いますし、仮に新たに借入をすることが必要になったとしても、借入金の残高が少なければ、銀行の「融資枠」のようなものにゆとりがある可能性が高いので、このタイミングで借入をして資金繰りを安定させることもできます。
「身の丈に合った借入」というところでしょうか。
デメリット
「必要なときに必要な金額だけ借りる」というのは、決して悪い考え方ではないですが、銀行側からすると「都合がいいな」と思われてしまうかもしれません。
銀行からの借入が必要なタイミングというのは計画的なものばかりではなく、急にやってくることもあります。
「取引先が倒産して売掛金が回収できなくなった」なんてことが起こり、倒産の危機が突如やってくるかもしれません。
そんなときに頼りになるのは、やはり銀行からの借入です。
「必要なときに必要な金額だけ借りる 、それ以外は一切借りん！」みたいに、常に借りる側の都合ばかりで銀行と接していて、果たして良好な関係が築けるでしょうか。
銀行側からすると「おもしろくない」でしょう。
借りる側のメリットばかりを追求すると、事がうまく回らなくなるかもしれません。
まとめ
事業を行っている以上、借入や資金繰りの問題はずっとついて回るので、そこで頼りになるのは銀行です。
銀行との付き合い方や借入するタイミングというのは、人それぞれ考え方があると思いますが、私はいわゆる「持ちつ持たれつ」の関係を築くことをオススメします。
銀行から「お貸しします」と言われたら、「無理のない範囲で借りておく、ただし超低金利でよろしく」みたいな感じでしょうか。
こういうやり取りを通じて銀行と顔馴染みになっておけば相談しやすくなりますし、借入もしやすくなります。
借りる側の都合ばかりを考えるのではなく、貸す側の都合もちょっと考慮するだけで、銀行と良い関係が築けますよ。
