【ブログ更新】「ひとり税理士」として開業した理由

独立開業

税理士事務所を開業しようと決めたら、「さて、どんな事務所にしようかな」と考えると思います。

結論から言うと、私の場合には「ひとり税理士」として開業することに決めました。

そんな結論に至るまでのお話です。

勤務した税理士事務所・税理士法人について

開業するまでにいくつかの税理士事務所・税理士法人に勤務した経験があり、どの事務所も従業員を雇用していました。

少ないところで3名、一番多いところで200名前後の従業員がいました。

トータル10年以上になる勤務経験を振り返ってみると、勤務していた事務所の代表税理士はザックリ分けると以下の2つのパターンでした。

①お客様を担当することはなく、経営者としての仕事のみをする代表税理士

②お客様を担当しながら、経営者としての仕事もする代表税理士

まず①は開業後それなりの年数が経っていて、さらに事務所の拡大を目標としている代表税理士でした。

開業当初こそ自分でお客様を担当していたけれど、事務所の規模が大きくなって一人では担当しきれなくなったので、お客様を担当する従業員をどんどん雇用して、自分はその担当から外れて経営者として事務所を運営するパターンです。

私もお客様を担当する一人として採用されました。

この場合、代表税理士とお客様との接点といえば、新規顧客の最初の面談に立ち会うときと税務調査に立ち合うときくらいで、経営者としての仕事は新規顧客の獲得や組織作りがメインでした。

なのでお客様との接点は非常に少なくなりますが、このパターンが税理士事務所の王道なのでしょう。

ただこのスタイルだと、代表税理士とお客様との間に距離ができてしまうんですよね。

伝言ゲームじゃないですけど、担当者経由だとお客様の意図が代表税理士に正確に伝わらなかったり、質問の回答に時間がかかったりなど、勤務しながら担当者制度の弊害を感じていたのは事実です。

一方、②は担当者兼代表者のような働き方をされている代表税理士でした。

事務所自体は50人前後の従業員がいるにもかかわらず法人を20件以上担当していたと思うので、いち担当者と大して変わらないくらいの件数を担当していました。

経営者として新規顧客を獲得したり組織作りをしながら、土日に出勤して事務所で申告書を作成したりお客様のところを訪問したりと、とても忙しそうでした。

「仕事仕事で大変じゃないですか?」と聞いてみたところ、「仕事をしていないと不安になるから、全く苦じゃない」と言ってました。

尊敬します…。

このパターンはそんなにないと思いますけど、あまりにも代表税理士一人の負担が大きすぎて、自分が同じようにできるかと言われれば、それは無理でしょう。

また「代表税理士が担当していないお客様は別の担当者に任せる」というところは①のパターンと全く同じなので、やはり代表税理士とお客様との間に距離ができてしまうことに変わりはありません。

余談ですが、関与先を担当することもなく、経営者としての仕事もしない代表税理士もいましたよ。

毎日とても暇そうでしたね。

目指すところではないですけど。

「ひとり税理士」を選択した理由

では、自分はどうなんだ!というと、「お客様に一番近いところでお役に立ちたい」そんな税理士になりたいと思ったんですよね。

「事務所を大きくしたい」とか「経営に専念したい」とかいうのはあくまでも税理士側の都合であって、お客様からすると、「税理士に直接相談したい」「レスポンスよく対応してもらいたい」というのが本音ではないのかなぁと。

その要望に応えるためには従業員を雇用してお客様の対応を任せるのではなく、すべての仕事を自分で対応するのがベストでしょう。

これならお客様の窓口はすべて自分ですから、お客様が求めていることがよく分かりますし、質問に対する回答もすぐにできます。

お客様との距離も非常に近いです。

そんなわけでお客様に一番良いサービスを提供するにはどうすればよいか試行錯誤した結果、従業員を雇用しない「ひとり税理士」という選択をしました。

自らお客様のところに出向き、会計や税金の話だけではなく経営に関する悩み事なども伺いながら経営者をサポートさせていただく、そんなスタイルが自分の性格に合ってるし、何より「お客様に一番近いところでお役に立てる」のかなと。

たまに雑談ばかりなんてときもありますが、それでもいいのかなと思っています。

まとめ

この業界で「ひとり税理士」はまだまだ少数派で、ほとんどの税理士事務所は従業員を雇用してお客様にサービスを提供しています。

周りの税理士や知り合いからは、「事務所どんどん大きくするんでしょ?」と言われたりするけど、今のところは自分のできる範囲でやっていこうと思ってます。

実はTwitter界隈には「ひとり税理士」は結構いたりします。