【ブログ更新】試算表の内容をチェックしてますか?(貸借対照表編)

会計

自社で会計処理を行っている場合には、会計ソフトへ入力が完了したら、正しく入力できているかどうかを試算表を使って確認する必要があります。

今回はその中でも、貸借対照表の科目の一部をピックアップしてチェックポイントを挙げてみます。

貸借対照表の科目をチェック

貸借対照表の科目がズラーっと並んでいると、「まあ、合ってるだろ」的な感じで、チェックするのが面倒になりますよね。

毎回全科目をチェックしなくても、主な科目をきちんとチェックするだけならそんなに負担なくできるし、試算表の精度もグッと上がるので、ぜひ以下の科目を中心にチェックしてみてください。

資産

受取手形

結論から言うと、受取手形には期日があるので、受取手形の残高は期日がまだ到来していないものだけが計上されることになります。

受取手形を受け取ったときには「受取手形/売上」と正しい仕訳を入力したけど、手形の期日が到来したときに、「現金預金/売上」という間違った仕訳を入力してしまっていることが多いです。

これだと売り上げが二重に計上され、かつ手形の期日が到来しているにもかかわらず受取手形に計上されたままになってしまいます。

ちなみに手形の期日が到来したときの正しい仕訳は「現金預金/受取手形」です。

「受取手形=期日未到来分」となっているかチェックしてください。

売掛金

例えば自社で作成した売上請求書の内容が、月末締の翌月末入金期限(未入金の状態)だとします。

いわゆる売掛金が1か月サイトで入金されるパターンですね。

この場合には売掛金の残高は1か月分のみ計上されることになります。

これが「0」になっていたり、変に大きな金額になっていたりしてませんか?

自社で作成した売上請求書と売掛金残高が一致しているかを必ず確認しましょう。

もし入金期限が過ぎても入金されない売掛金がある場合には、早めに先方に連絡して入金をお願いしなければならないので、「とりっぱぐれ」を防ぐためにも売掛金残高のチェックは大事です。

売掛先が複数あるならば、売掛先ごとに補助科目を作成すると簡単にチェックできますよ。

役員貸付金

あまり発生することのない科目ですが、仮に試算表にこの科目があったら要注意です。

ザックリいうと「会社のお金を社長(役員)が使ってしまっている」ということを表しているんですね。

税務・会計的にはこの役員貸付金に対する利息はきちんと計上しなければならないし、借入金がある場合には銀行側は「うちが貸したお金を社長が個人的に使ってるじゃん(実際にはそうじゃなくても)」という見方をするので、今後の借入審査に影響が出る可能性があります。

という訳でこの科目、何も良いことないです。

できることならすぐにでも返済してもらい、この科目は「0」にしておくことが重要です。

仮払金

会計処理の途中で「取引内容がよく分からないから、とりあえず仮払金で処理」はOKですが、「そのまま放置」はダメです。

放っておくと雪だるま式にどんどん膨らんでいって、気が付くと手が付けられないほどの残高になってしまうので、取引内容を早めに確認して適切な科目に修正しましょう。

場合によっては、この仮払金は上記の「役員貸付金」とみられてしまう可能性もある(だいたい取引内容が分からないのは社長の領収証)ので、注意が必要です。

負債

支払手形

これは受取手形と同様に、期日が到来していないものだけが計上されることになります。

支払手形の期日が到来したときに、「支払手形/現金預金」という正しい仕訳が入力できていれば大丈夫かなと思います。

「支払手形=期日未到来分」です。

買掛金

基本的には買掛金も売掛金と同じようにチェックすればOKですが、買掛先が複数ある場合で支払いサイトがバラバラなときは、ちょっと面倒になります。

たとえば買掛先A社は月末締の翌月末支払期限(1か月サイト)、買掛先B社は月末締の翌々月15日支払期限(45日サイト)なんてパターンの場合には、買掛先ごとに支払請求書を確認して残高をチェックしなければならないので、ひと手間かかります。

これも売掛先と同様に買掛先ごとに補助科目を作成して、残高の確認と同時に支払い漏れがないかもチェックしましょう。

預り金

預り金がカオスの状態になってしまっている試算表をよく見かけます。

役員や従業員などに給料を支払ったときに、その給料から「源泉所得税」「社会保険料」「住民税」を天引きした金額を「預り金」として計上し、これらを会社が納付したときに「預り金」を取り崩す、というのがこの科目の一般的な使い方です。

ただ社会保険料の納付時のみちょっと複雑で、天引きした分の仕訳は「預り金/現金預金」、会社負担分の仕訳は「法定福利費/現金預金」です。

ところが預かった時には「預り金」として計上しているのに、納付したときに「預り金」を取り崩さずに「租税公課」や「法定福利費」を使ってしまったり、もっとひどいケースだと「とにかく預かったお金=預り金」のような会計処理をしている試算表も見かけます。

この科目はホントにごちゃごちゃになりやすいので、「源泉所得税」「社会保険料」「住民税」の補助科目を作成して丁寧に仕訳を入力していけば、カオスにならずに済むはずです。

借入金

借入金の返済は、「元金部分」と「利息部分」に分かれているので、会計処理も分けなければなりません。

「元金部分」の仕訳は「借入金/現金預金」、「利息部分」の仕訳は「支払利息/現金預金」です。

借入したときに銀行からもらった返済明細表の残高と借入金の残高が一致しているか必ず確認して、仮に一致してないなら、その原因は上記のように仕訳を分けていない場合がほとんどです。

借入金の返済の会計処理は毎月同じパターンなので、慣れてしまえばチェックは簡単ですよ。

まとめ

今回は貸借対照表のうち主な科目のみピックアップして説明しましたが、慣れてくるとこれら以外の科目でも「あれ、この残高おかしいぞ」って分かるようになってきます。

試算表は会社の業績を把握したり今後の経営計画のベースとなる重要なものだし、銀行から借入するときには必ずといっていいほど試算表の提出を求められます。

会計ソフトへ入力したらそれで終わりではなく、その内容をチェックするクセをつけましょう。