会社の経理担当者や、個人事業主としてご自身で確定申告書を作成したことがある人なら聞いたことがある減価償却費。
でも、一般の方なら、何これ?っていうのが、普通の感想では?
今回は減価償却費とは何ぞや!をできるだけ分かりやすく書いてみたいと思います。
減価償却費の説明の前に
減価償却費を説明する前に、ちょとだけ固定資産のことを説明します。
固定資産とはざっくりいうと会社の財産のことで、有形固定資産と無形固定資産があります。
有形固定資産とは、主に
・建物
・機械装置
・車両運搬具
・器具備品
などです。
有形固定資産はどれもイメージしやすいと思います。
無形固定資産とは、主に
・ソフトウェア
・特許権
・商標権
などです。
商標権???ソフトウェアならピンときますよね。
これらは文字通り「固定資産」なので、原則として費用に計上することはできません(例外で費用に計上できる場合がありますが、今回は割愛します)。
この固定資産というのは「使用期間が長期に及ぶものであり、その長期にわたって使用することで売上などの収益を獲得することに貢献するもの」というのが会計上の考え方なんですね。
このあたりを前提として以下の話を進めていきます。
減価償却費とは?
今回は固定資産の中でも有形固定資産のほうが分かりやすいと思うので、有形固定資産を例に減価償却費を説明していきます。
例えば、ある会社が営業用の新車を一台120万円で購入したとします。
仕訳でいうと
車両運搬具1,200,000/現金預金1,200,000
となります。
会計上は購入時に「車両運搬具」という資産の勘定科目を使って、いったん資産として計上します。
で、実際に購入した営業車はというと、会社の営業マンがその車を使って営業などをするわけですよね。
具体的には既存のお客様の会社を訪問したり、新規開拓をして新たな顧客を見つけたりして、最終的には会社の売上を獲得するために営業車を使うことになります。
この売上を獲得するために「営業車を使う」ということを、会計上の数値で表したものが減価償却費なんですね。
じゃあ会社の好き勝手な金額を減価償却費として計上していいのかというと、もちろんそういうわけにはいかなくて、固定資産の種類によって耐用年数というものが細かく規定されており、それに従って計算しなければなりません。
今回の例で挙げた営業車は一般的には耐用年数6年で減価償却費を計上することになるので、
仕訳でいうと
減価償却費200,000/車両運搬具200,000(1,200,000÷6年)
となり、200,000の費用を計上することになります。
これはちょうど一年分の金額ですけど、例えば事業年度が1月から12月の会社が7月に車を購入して使い始めたのであれば、7月から12月までの6か月分を減価償却費として計上します。
仕訳でいうと
減価償却費100,000/車両運搬具100,000(1,200,000÷6年×6か月/12か月)
となり、100,000の費用を計上することになります。
ここでたぶん多くの人が思いますよね。
なんでこんな面倒なことをするの?購入したときに資産に計上しないで、全額を費用に計上してしまえばそれでスッキリじゃない、と。
その通りなんですけれども・・・
仮に購入したときに全額を費用に計上してしまうと、売上は毎期継続して計上しているにもかかわらず、購入した事業年度だけ費用がドンと計上されるので利益が小さくなり、その後の事業年度では購入した固定資産の費用が「0」になるので利益が大きくなるという、でこぼこした数値となってしまって、会社の正しい業績を示さなくなってしまうんです。
なので会社の正しい業績を示すために、「いったん固定資産計上→毎期費用化」という、なんとも面倒なことをしなければならないんです。
こんな感じで会社が獲得した売上と費用を一致させるために、いったん固定資産として計上したものを徐々に費用化していくのが減価償却なんですね。
ちなみに土地は「何年たってもいくら使っても価値は減少しない」という考え方から、購入したときに固定資産として計上して、減価償却費は計上しません。
10,000,000の土地を購入した場合、仕訳でいうと
土地10,000,000/現金預金10,000,000
で終了です。
まとめ
・固定資産を徐々に費用化していくことが減価償却
・目的は売上などの収益と固定資産の費用を一致させて、会社の正しい業績を示すため
・何年で償却するかは固定資産の種類ごとに決められている
以上、会計初心者の方向けの減価償却費のお話でした。
今度はもう少し突っ込んだ話をしたいと思います。